紅葉もポインセチアも、正体はアントシアニン

温暖化の影響なのかどうかはわかりませんが、近年、紅葉の時期は益々遅くなってきているような気がします。今年の京都の紅葉はがっかり、などと世間では言われていたようで、確かに色づく前に枯れて茶色になってしまった木もたくさん見ましたが、12月に入ってからぐっと色づいた木も多く、我が家のモミジも先週がちょうど見頃でした。このままの調子では、あと20~30年もすると、紅葉の見頃はお正月、なんて時期が来てしまうかもしれません。

一方、クリスマスで街が華やぐこの時期、真っ赤なポインセチアがショーウィンドーや店頭をカラフルに彩っています。ポインセチアが星型に見えること、赤と緑のクリスマスカラーをしていることなどから、クリスマスに飾られるようになったとも言われていて、原産地メキシコでは「ノーチェ・ブエナ」=「聖夜」とも呼ばれるそうです。

紅葉とポインセチア。晩秋から年末にかけて、私達の目を楽しませてくれる、赤色の植物達。「和」と「洋」とで、一見趣きは異なりますが、もしかして、ポインセチアも紅葉の一種?と、興味がわいてきて、調べてみました。

■紅葉のしくみ
葉に含まれている緑色のクロロフィル(葉緑素)と黄色のカロチノイド。葉緑素が盛んに光合成を行っている間は、クロロフィルの緑色が目立ちますが、寒くなって、葉緑素の働きが弱くなると、相対的にカロチノイドの黄色が強くなり、黄味がかってきます。更に、寒くなると(一説には、一日の最低気温が8度以下)、葉で作られた糖分が茎まで流れなくなり、葉の中に溜まりだします。この糖分から赤色のアントシアニンが作られ、葉が赤色に変色します。

■ポインセチアのしくみ
ポインセチアの赤い花のように見えている部分は、実は花ではなく、苞と呼ばれる葉が変化してできたもの。夜が12時間以上の日が1か月半程続くと、赤く色づくそうです。この赤色の正体も、紅葉と同じくアントシアニンなので、紅葉のしくみとかなり似ています。ただ、赤い苞の中心部分に花が咲き、これから実がなるところが、落葉間近の紅葉と異なります。

ちなみに、このアントシアニンは、ブルーベリーやブドウ、ワインなどにも含まれていて、私たちにも馴染み深い物質です。

紅葉とポインセチア。どちらもその正体はアントシアニンだったのですが、日照時間や気温、期間などを敏感に感じ取って色を変えるとは、植物の不思議な生態に驚かされるばかり。たかが、植物と侮るなかれ。いったい、どのようにセンシングし、メモリーしているのでしょうか。片や私と言えば、ニュースとスマホに頼ってばかりで、甚だ情けない限りです。