蓮華の咲く浄土は、日常の中に

約半年ぶりに、鴨川をジョギングしました。自宅から鴨川までは徒歩約5分。ウォーミングアップがてら河川敷まで歩いた後、鴨川の遊歩道を北に約2.5キロのランニング。荒神橋で折り返して戻ってくるのが定番のコース。

雲ひとつない爽やかな青空。暖かい日差し。土手には、蓮華草、タンポポ、色とりどりの花が咲いています。さて、この蓮華草ですが、皆さんご存知の通り、「蓮華」とは蓮の花のこと。昔、蓮華草は肥料代わりに水田に撒くなど身近な植物だったようで、形の似ている蓮の花にあやかって、蓮華草と呼ばれるようになったとか。

「蓮華蔵世界」という言葉が、浄土真宗の経典「正信偈」の中にでてきます。浄土真宗においても、「蓮華」とはとりわけ尊い花で、「蓮華蔵世界」とは仏さまが暮らす浄土のことを指します。

しかし、この蓮の花。その高貴な美しい姿から、人里離れた山奥の清流や高原に生えていそうな気がしますが、そうではありません。汚れた泥水の中から、すっくと茎をのばし、澄んだ美しい花を咲かせるのです。

ならば、浄土もまた、遠く清らかな彼岸にあるものではなく、煩悩に穢れた私たちが暮らす、この日常、この世界の中にこそ、見出されるものではないでしょうか。

河川の土手、公園の花壇、農村のあぜ道では、白や紫の蓮華草が満開です。また、あと1・2ヶ月もすると、美しい蓮の花も咲くでしょう。私たちも、年に一度、いや一生に一度だけでも、煩悩とは無縁の穢れない花を咲かせてみたいものです。