日本語を知り、「生き方」を考える

5世紀ごろに、日本に漢字が伝わり、日本語を文字に書き表すようになってから、千年以上が経ちます。それまで、「話し言葉」だった日本語に文字があてはめられ、「書き言葉」が発展することで、より広範囲に、そして、時間を越えて、日本語が広まりました。

6世紀には、大陸から仏教が伝来。日本社会に浸透するにつれ、多くの仏教用語が日本語にも取り入れられていったようです。その中には、現在も頻繁に用いられる言葉も少なくありませんが、「出世」「利益」「快楽」など、本来の意味から真逆ともいえるぐらい、意味が変わってしまったものもあります。

言葉は、時代背景や社会環境にあわせて、生まれ、消え、変わっていくものです。同じ日本人とはいえ、貴族社会、武家社会、現代社会では、人々の暮らしぶりも関心事も大きく異なります。例えば、自然に囲まれて暮らしていた昔の日本人は、多様な花や空の色を繊細に見分け、多くの色の名前を使い分けていたそうですが、現代人の多くは、見分けることもできず、また色の名前も知りません。

言葉とは、私達の興味・関心、悩みなどを映す鏡。さまざまな時代、さまざまな場面で用いられた日本語の意味や成り立ちを知ること、そして、自分の気持ちや考えを正確に表す言葉を探すことは、日々の生き方について考える一助になるのではないでしょうか。

そんな想いから、長性院・向鶴文化連の取り組みとして、日本語について学ぶ講座をはじめることにしました。日本語にお詳しい先生と一緒に、不定期で動画を配信していきたいと思いますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。第一話は目下編集中。お楽しみに。

(副住職)