年頭のご挨拶

新春や 黄金の福寿 花開き
ともに歩まん 浄国の旅

明けましておめでとうございます。新年にあたり謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

宗務総長を拝命し五回目のお正月を迎えました。その間、私たちを取り巻く環境が急速に変化する中、聞法のあり方、寺院のあり方、本山のあり方等の課題に取り組んでまいりました。
また、検討を行うにあたり、宗勢調査並びに門信徒調査を行い、実態の把握に努めました。その結果、聞法活動を定期的に実施されている寺院は、念仏相続も淀みなく進められていることや、門信徒の皆様の厳しいご意見も、新しい時代に向けて、変わらねばならない意思の現れといただきました。私たちは現状を真摯に受け止め、宗門の皆様と一丸となって、改革を進めてまいりたいと存じます。

一昨年は、ご存知のとおり、宗門が長きにわたり待ち望んでおりました真覚様が、新門になられました。そして、今年三月には、恵照御門主様が退任され、四月から真覚様が御門主に就任されることが、「住職相承委員会」で承認されました。
私たちはこの勝縁のもと、初春の光を浴びて、黄金色に輝く福寿草の如く、新しい時代を皆様とともに歩んでまいりたいと存じます。

さて、私たちを取り巻く環境は、科学技術の飛躍的な進歩によって、経済・社会・文化・医療等々あらゆる分野において、複雑化・多様化が急速に進んでいます。あらゆる枠組みが変化する中で、従来の常識や価値観は通用しなくなっており、その進歩に私たちの意識や社会制度が伴わず、不安と混迷を一層深めています。

このような時代社会に流されることなく心豊かに輝く人生をおくることは私たちの願いであります。弥陀の本願を聞信し、自信教人信によるお念仏のみ教えをいただくことが、混迷の時代を生き抜く唯一の道であります。

昨年の御正忌報恩講において、恵照御門主は、

弥陀智願の広海に
凡夫善悪の心水も
帰入しぬれば すなわちに
大悲心とぞ 転ずなる

とご和讃をお示しになり、「私たちは、ことの善し悪しに右往左往する、小さな心しか持ち合わせておりませんが、阿弥陀さまの智慧とご本願の大きな海にいだかれていると目覚める時、凡夫の心は大悲の心へと転ぜられ、温かな感謝の心をいただくご縁を賜りました」と、お説きくださいました。

親鸞聖人がお示しされたお念仏のみ教えを聴聞させていただき、光り輝く人生をともに歩んでまいりたいと思います。

長性院 住職 佐々木 亮一