門信徒の墓

足掛け約5年ほどでしょうか。いろいろなご縁とご厚意が重なって、ようやく長性院門信徒の合葬墓を設置することができました。

御多分に洩れず、当院でも、跡継ぎ不在の問題が徐々に顕在化してきています。また、個人門信徒の増加などの社会情勢の変化もあります。従来の檀家制度を前提とした、お寺と門信徒さんとの関係も変わっていく必要があります。

累代墓(家墓)って、ご存じでしょうか。

墓石に「○〇家之墓」などと刻まれた、本家が代々引き継いでいくお墓のことです。江戸時代の檀家制度や明治の家督制度のもと、長く守られてきたものですが、跡継ぎがいなかったり、おられても遠くに住んでいたりして、管理ができないことが増えてきています。また、家族とは、異なった宗教感を持っていて、自分は自分なりの方法で葬られたいと思われる方もおられるでしょう。

もちろん、累代墓だからといって本家や長男が継がないといけないという訳ではなく、もっともっと柔軟で多様なお墓のあり方があっていいと思いますが、実際には、それぞれの家族の関係性や考え方、感情など、いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、ひとつの結論を出すのはなかなか難しいものです。

そのようななか、いろいろな事情を持った方々のさまざまなお気持ちに少しでも応えられるよう長性院門信徒の墓を建てました。自分が死んだあとのお墓の管理について悩むことなく、自らの意思で選び入ることのできる合葬墓です。

これまで、そしてこれからも累代墓は、先祖から命を授かり今を生きている私たちの核として大変意味のある存在ですが、一方で、未婚化少子化が進み、人々が世界中を動き回る時代だからこそ、合葬墓によって導かれる仏道もまた必要なのではないかと信じています。