本山佛光寺の標語。あなたの「心に響いた」のは

長性院のお向かいの本山佛光寺の掲示板では、実に60年も前から、教えをわかりやすく伝える標語を毎月掲げておられます。幼少期からずっと素通りしてきたのですが、40歳を過ぎた頃から不思議とよく目に留まるようになり、心に響く標語に出会うようになりました。

ない
ない
と数えはじめると
渇いてくる
ある
ある
と数えはじめると
満たされてくる … 続きを読む

「精進カフェ和香」で血液サラサラ、心もサラサラ

お隣・大善院のギャラリー「おてらハウス」の中にある精進カフェ和香。水曜日~土曜日のお昼間しか開いてないこともあり、今日、ようやくお伺いすることができました。店長シェフのわかこさんは、伝説の精進料理店「彌光庵」で勤務した後、京都府庁前で10年間、精進弁当を販売されていた実力者。昨年4月、ご縁あって、おてらハウスで精進カフェ和香をオープンされたそうです。

皆さんご存じの通り、精進料理とは、植物性材料のみで調理された料理で、仏教の「不殺生戒」に由来しています。禅宗を中心に、修行の一環として発達し、現代の和食にも大きな影響を与えてきました。近年では、ベジタリアンやヴィーガン、マクロビなどの観点から、世界的にも注目されています。

少し話はずれますが、浄土真宗においては、肉食は禁止されていません。人間も動物と同じく、 … 続きを読む

「生きる喜び」に気づく、お寺での文化体験

私は今まで、主に伝統産業を中心として産業振興のお仕事をさせていただいてきました。多くの中小企業さんや職人さんとご縁をいただき、素材や技術の棚卸しから新商品開発、プロモーションなどを通じ、伝統産業の現代社会における市場価値を高める、ビジネスのお手伝いをしてきました。その一方で、文化分野、いわゆる「作品」や「アート」と呼ばれるもの、例えば、美術や音楽、文学、演劇などは、作家性、趣味嗜好性が強く、公的な支援メニューが限られることもあり、私も意識的に一線を引いてきたところがあります。しかし、同時に、そのことにある種のもどかしさを常々感じていたのも事実です。

身の回りを少し見渡すだけでも、サブカルチャーはともかく、従来の文化、いわゆるハイカルチャー(美術、音楽、文学など)に対する関心が少しずつ薄らいできているような気がしてなりません。かつては社寺仏閣や大企業などがパトロンとなって無名の作家を育て文化を振興してきましたが、近年の企業メセナ活動もまだまだ充分なものとは言えません。家庭からは工芸品が姿を消し、骨董好きのコレクションとなってしまいました。合理主義と経済原理に洗脳された私たちにとって、機能性も資産価値も見い出せないような文化はもはや無用なのでしょうか。もしくは、いったいどんな意味があるというのでしょうか。 … 続きを読む

お節料理に込められた人々の願いと愛情

お正月に欠かせないおせち料理。10日も過ぎてお節の話題かと叱られそうですが、まだまだお正月気分が抜けない私。京都では15日まで松の内、ということで、ご容赦ください。

「お正月は、どこのおせち料理にする?」
有名料亭やホテルのお節料理が年末の話題をさらう時代。プロが作る趣向を凝らしたお節料理はどれもおいしいのですが、地方地方や各家庭で代々伝わってきた味が無くなるのは寂しいこと。素材の味を生かした素朴な味、おふくろの味(?)は、子どもの頃はむしろ嫌いなくらいだったのに、年を取るほどにおいしく感じるから不思議です。一年間で千回以上も食事をするのに、食が豊かな現代では、お煮しめも、くわいも、ごまめも、今やお正月しか食べなくなってしまった。だから、なんとしても食べ続けたい。そんな食い意地の張った私の想いを知ってか知らずか、今年も坊守(妻)が忙しい年末の時間を割いて作ってくれました。 … 続きを読む