菅 かおる「光と海」展(2019/10/5~6)

ニュイ・ブランシュKYOTO 2019にあわせて、和蝋燭の灯で、日本画家・菅かおるさんの作品を楽しむ展覧会「菅かおる「光と海」展」が当院で開催されます。和蝋燭のゆらめく光で、金箔や銀箔で描かれた流水や海の絵画を鑑賞するという贅沢な趣向となっています。

電気照明が生まれるもっと昔。薄暗いお寺の中で、ゆらぐ和蝋燭に浮かび上がる屏風。見えるものと見えないものの境が曖昧で、「静」と「動」も、「生」と「死」も、一緒に存在していたそんな時代。忙しない現代からタイムスリップして、ゆらぐ灯に、ありのままの心を照らしてみてはいかがですか。

<開催概要>
【1期】 真宗佛光寺派 長性院(京都府京都市下京区新開町397−12)
2019年 10月5日(土)13時~21時 ・ 6日(日)13時~17時
※両日とも入場無料 ※ニュイ・ブランシュKYOTO2019 参加プログラム
https://www.nuitblanche.jp/

【2期】 Gallery PARC (京都市中京区烏帽子屋町502)
2019年 10月11日(金)~27日(日)11時~19時 (金・土のみ22時まで)
※月曜休廊 ※入場無料

企画:はが みちこ
主催:うみをめぐる会
共催:真宗佛光寺派 長性院、Gallery PARC
協力:一般社団法人HAPS、有限会社 中村ローソク
助成:京都府文化力チャレンジ補助事業

<作家プロフィール>
菅 かおる
2000年 京都造形芸術大学美術科日本画コース卒業。千住博に師事。 主な受賞に2012年康耀堂美術館賞、2015年 琳派400年記念新鋭選抜展優秀賞受賞 等。 主な個展に、2010年「水中トリップ 蝋燭の灯でみる水の絵」(Gallery Antenna・京都)、2014年「アクロス・ザ・ユニバース」(Gallery PARC・京都)、 2015年「secret place」(新生堂・東京)、2018年「環の中の永遠」(Gallery Seek・東京)等。主なグループ展参加に、2011年「グループホライゾン」(高島屋)、2012年「アブストラと12人の芸術家」(大同倉庫・京都)等。
https://www.kaorukan.com/

<作家の言葉>
2010年と2013年にGallery Antennaで蝋燭の灯で絵を鑑賞するという個展をしたことがある。日本画という伝統技法を使って作品を描いているからには、古来からの光で自分の絵を見る試みをしてみたいというのが始まりだった。2014年のGallery PARCでの個展では、16曲の屏風に見立てた両面絵画を並べ、ギャラリー空間のスポットライトで部分的にカラーフィルターをあてて展示した。これらの展示を見に来てくれていた、はがみちこさんが今回この2つの展覧会を企画してくださった。
今回、長性院では蝋燭で2日間の展示。その日どのような天気になるかわからないし、お寺という特別な空間が絵をどう見せるのか。お寺は今では多くの人にとって特別な空間となっているけれど、昔の人にとってお寺はどういう場所だったのか、今よりもっと身近で救いを求める空間だったのか、など考えながら制作している。Gallery PARCでは、長性院で展示した作品を持ってきて、に新作を加えて展示する予定。Gallery PARCはギャラリーという、作品を展示する為にこしらえられた空間だが、4階では自然光の入る、面白い空間がある。そこで蝋燭、人工の光と移り変わる自然光と様々な実験をしたいと思っている。私のアトリエで作った作品が、置かれる環境でどのような変化をみせるのか。
ひとつの展示が終わればそこで終わりではなく、その試みが新たな創作のアイデアを生む。そのような機会を与えて頂けることに感謝してこの個展に挑みたい。
菅 かおる

本展覧会企画のはがさんと僧侶の研修会で出会ったのが2年前。私が当院で開いているGOLD展の話で盛り上がったことがきっかけで、今回の展覧会の開催に至りました。さすが、アート・メディエーターさん。親鸞聖人の和讃も引用しながら、素晴らしい企画を考えてくださいました。

<本展について>
ひそかにおもんみれば  難思の弘誓は難度海を度する大船 無碍の光明は無明の闇を破する慧日なり
親鸞『顕浄土真実教行証文類 序』

「光」と「海」は、浄土真宗の宗祖・親鸞にとって、ことさらに特別な意味を持ちます。遮られることのない不思議な光は、一切の生き物をあまねく救う阿弥陀如来の願力の象徴です。「南無阿弥陀仏」は「南無不可思議光如来」であり「帰命尽十方無碍光如来」であり、あたかも光に向けられた信仰かのようです。流罪を経験した親鸞の海は、さらに重層的です。「難度海(渡り難い海)」「群生海」「本願海」「大宝海」--無数に群がり生きるこちらの世界と、救いの法の満ちるあちらの世界を同じ相に置くものが、海だといえるでしょう。  本展では、寺院という宗教空間とギャラリーという中立空間を会場とし、菅かおるの二つの個展をおこないます。日本画の技法を用いる菅は、古来からの絵画の受容に倣って蝋燭の灯りで展示をおこなうなど、これまでも、絵画と光の関係に注意を払って実験を続けてきました。特に、光の状況により大きく表情を変える金箔の扱いに意識を向けています。絵画や飾り、光の効果などで空間を異化し、意味性を付与する効果を仏教では「荘厳」と呼びますが、菅の参照するような伝統的鑑賞における絵画は、空間作用の機能をともなうものでした。
信は荘厳なり。「光」と「海」をモチーフとし、試みに、絵画を荘厳のための「装置」としてみます。同じ絵を、別様の空間で、別様の光源で展示するとき、どのような作用が働くでしょうか。揺らぐ炎の光、移ろう太陽の光。水面や深海を描く水の画家とともに、絵画を「作品」として照らし出す展示用照明から解放します。
はが みちこ(アート・メディエーター)

過去3回開催したGOLD展では、朝昼晩、移り変わる日光にあわせて表情を変える日本画を観てきました。今回は、日光でも、電気照明でもない、和蝋燭の灯。ゆらゆらとゆらめく光に、箔がどのような「命」を宿すのか、とても楽しみです。小さなお寺の小さな仏間ですが、ぜひ、足をお運び頂けますと幸いです。

また、今回の展覧会に先立ち、FM京都「アルチザントーク」に、日本画家・菅かおるさん、アート・メディエーターのはがみちこさんがご出演されますので、あわせてお楽しみください。

<放送日時>
日時 第1回 2019年9月27日(金)AM 6:00~7:00
第2回 2019年10月4日(金)AM 6:00~7:00
番組 FM京都「αステーション」「アルチザン・トーク」
MC 矢島 里佳さん
http://fm-kyoto.jp/timetable_weekly/