お正月に欠かせないおせち料理。10日も過ぎてお節の話題かと叱られそうですが、まだまだお正月気分が抜けない私。京都では15日まで松の内、ということで、ご容赦ください。
「お正月は、どこのおせち料理にする?」
有名料亭やホテルのお節料理が年末の話題をさらう時代。プロが作る趣向を凝らしたお節料理はどれもおいしいのですが、地方地方や各家庭で代々伝わってきた味が無くなるのは寂しいこと。素材の味を生かした素朴な味、おふくろの味(?)は、子どもの頃はむしろ嫌いなくらいだったのに、年を取るほどにおいしく感じるから不思議です。一年間で千回以上も食事をするのに、食が豊かな現代では、お煮しめも、くわいも、ごまめも、今やお正月しか食べなくなってしまった。だから、なんとしても食べ続けたい。そんな食い意地の張った私の想いを知ってか知らずか、今年も坊守(妻)が忙しい年末の時間を割いて作ってくれました。
皆さんご存じの通り、お節料理とは節句の日に神様にお供えする料理のことで、各献立にはそれぞれ縁起や祈願などのいわれがあります。浄土真宗では縁起を担ぐことはしませんが、それらを知ることで、おせち料理に込められた家族の深い愛情を感じ、謙虚な心持ちで新年を迎えることができるのではないでしょうか。それにしても、江戸時代に庶民に広まったというお節料理。いつの時代も、人々の悩みや願い、そして家族に対する愛情は変わらないものだと、改めて考えさせられます。
・黒豆・・黒は魔除けの色。「まめ」に働き、健康に暮らせるよう無病息災。
・数の子・・卵が多いことから、子宝や子孫繁栄を祈願。
・ごまめ(田作り)・・イワシを畑の肥料していたことから五穀豊穣を願う。
・栗きんとん・・金銀財宝を意味し、金運を呼ぶ。
・紅白蒲鉾・・紅は歓び、白は神聖を表現。蒲鉾は日の出の形。
・たたきごぼう・・地中にしっかりと根を張って家庭安泰。たたくことで運も開く。
・伊達巻・・形が巻物に似ていることから、学問成就を祈願。
・酢れんこん・・蓮は穢れのない植物。たくさん穴があり先を見通す。
・くわい・・芽が大きく、出世を願う。黄色に色づけし、財も祈願。
・紅白なます・・紅白水引を模したもので、平安を願う。
・海老・・腰が曲がるまで長生きできるように長寿。
・お煮しめ
里芋・・たくさんの小芋がつくことから子宝。
陣笠しいたけ・・陣笠に見立て、神様へのお供え。
梅花にんじん・・必ず実を結ぶ梅を表す。
手綱こんにゃく・・心を引き締める。縁を結ぶ。
たけのこ・・筍は成長が早く、子どもの成長を祈願。