美しい花たちが教えてくれること

先日、仕事を通じてお知り合いになったフラワースタイリストさんから、素敵な花束をいただきましたので、玄関に飾ってみました。秋明菊など和花が上手く混ぜてあるので、お寺の玄関にも違和感なし。それどころか、長性院史上、最高にオシャレで、玄関が輝いて見えます。

ところで、菊は、仏花としてもよく利用されるお花です。お墓参りでお供えに用いることから、寂しい暗いイメージを持っておられる方も多いかもしれませんが、慶事にも用いる万能のお花です。

一説によると奈良時代に中国から伝わったといわれる菊は、身近に自生していたこともあり、生薬や食用として重宝されてきたそうです。また、天皇家の家紋にもなっているように、高貴な花の象徴でもありました。菊の開花時期は9月~10月で、ちょうど「秋のお彼岸」の時期にあたるので、お供えとして使われてきたのでしょう。水揚げがよくて日もちするのも、ひとつの理由。

では、何故お仏壇やお墓にお花を供えるのでしょうか。ご先祖様や仏様を供養するためでしょうか。

厳しい自然環境を耐え忍んで花を咲かせ、そして徐々に散っていく様は、命の美しさ、はかなさを私達に伝えてくれます。精一杯に咲く花を見て、命を尊さを知り、万物に感謝すること。それを気づかせるために、仏花は仏様に向けてではなく、人間に向けて生けるのです。

お仏壇でなくても構いません。ご自宅のリビングや玄関に、そんな気持ちで美しいフラワーアレンジメントを飾ってみるのもよいものです。