真の知識にあうことは
かたきがなかに なおかたし
流転輪廻のきわなきは
疑情のさわりにしくぞなき
明けましておめでとうございます。新年のあたり謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
冒頭のご和讃は、昨年の御正忌報恩講の御親教の中で、真覚御門主がお引きになられたご和讃であります。このご和讃は、親鸞聖人が法然上人に出遇われ、お詠みになったもので、「真の師に出遇うことは、極めて難しいことです。私たちが流転輪廻して迷いから離れられないのは、弥陀の本願を疑う心そのものによるのです」とお教えいただいています。今年も、皆様と共に聞法を深め「お念仏を喜ぶ」暮らしをしてまいりたいと存じます。
さて、社会環境は、科学技術の飛躍的な普及に伴う格差社会を背景に、ナショナリズムやポピュリズムに象徴される自国中心主義や大衆迎合主義への傾きを見せています。更に、心の豊かさよりも物の豊かさを追い求める現代社会とあいまって、私たちを取り巻く環境は、益々混迷を深めることが予測されます。弥陀の本願を信じ、お念仏の教えを大切にする私たちの生き方がいよいよ問われてくるのです。
そんな中、本山では令和五(2023)年五月、全国の門信徒の皆様のご参詣のもと、「大悲に生きる人とあう 願いに生きる人となる」の基本理念による宗祖親鸞聖人御誕生八五〇年法要・立教開宗八〇〇年法要・聖徳太子一四〇〇回忌法要・第三十三代真覚門主伝灯奉告法要の四つの法要を「慶讃法会」として厳修されます。
慶讃法会は、日本に仏教が伝来して以降、み教えを私たちにお届けくださった先人のご苦難を偲び、今を生きる私たちの課題を共有し、未来に向け共に歩むことを確認するものであります。
門信徒の皆様には物心両面にわたり、ご負担をおかけいたしますが、この勝縁を新しい時代に向けた念仏相続・念仏弘通の第一歩として、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
私たちは、真覚ご門主を先頭に、皆様方と共に、新しい時代を一歩一歩あゆんでまいりたいと存じます。今後とも旧倍のご支援ご協力を賜りますようお願いを申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
長性院 住職 佐々木 亮一