ベビーベッドから見える世界

娘が生まれて早4ヶ月。娘と過ごしていて、はたと気づかされることがある。

娘は、まだ、寝返りもできないし、言葉も話せないし、ミルクも与えてもらわないと飲めない。到底、まだ一人ではとても生きてはいけない。

私はと言えば、立って歩けるし、言葉も話せるし、ご飯もスーパーで材料を買って作って食べられる。大人になって、自分の体を自由に動かして、思いのまま生きられるようになった。自分一人で生きていける。

本当にそうだろうか。

そんな気がするだけで、私もまた娘と全く同じではないか。怪我や病気になること もある。家族や会社、農家さん。野菜に自然に太陽。世界の多くの存在なくして、命をつなぐことはできない。自分の人生でも、おおよそ思い通りにはならない。

毎日、ベビーベッドの上で天井を見つめる娘と、インターネットで世界中の情報に流される私。大人になって、自分が関わることのできる世界が少し広くなったような気がするだけで、どちらも、世界の一部しか見えていないことに変わりはない。

最近、娘がケラケラと笑うようになった。母親や家族を見て、嬉しそうに笑う。自分を守り育ててくれる家族に全幅の信頼を寄せ、心を開き、屈託のない笑顔を見せる。

果たして私は、私を生かせてくれている全ての存在に、あれほど素直に笑うことができるのか。自分一人で何でもできるような気がして、奢って、かえって、この当たり前のことに気づけない。

私達は、到底計り知れないほど大きな世界で多くの存在によって、生かされている。そしてそれは、ベビーベッドの上の小さな小さな世界からでも、心を素直に、謙虚に保てば、見えてくるものなのかもしれない。