花まつりコンサートからD&D京都まで。佛光寺の10年間。

今日、久しぶりに本山佛光寺境内のd食堂で京都昼食を食べていると「佛光寺さんのホットかりん」なる新メニューを発見。なんと、佛光寺の職員さんが境内で実っていたかりんを収穫し、d食堂さんが氷砂糖に漬けて作ったドリンクらしい。名実ともに佛光寺オリジナルの新メニューは爽やかな甘さで身も心も温まりました。一方、ショップでは、京都造形芸術大学の学生さん達が店頭に。今夏、佛光寺で一泊お寺体験を受けた学生さん達は、すっかり、佛光寺に溶け込んでおられるように見えました。

実は、今日11月29日は、ロングライフデザインをテーマにしたライフスタイルショップ「D & Department Kyoto by 京都造形芸術大学」の1周年記念日。これまでの紆余曲折が走馬灯のようによみがえります。2年前のナガオカケンメイさんとの出会いから、教団全体を巻き込んだ1年間に及ぶ大論争を経て、前代未聞の産学宗の三者連携を実現。店舗のオープン後も、一般向けのセミナー「わかりやすいお寺」や、pechakucha nightといったイベントなど、さまざまな事業を実施し、学生のみならず、社会人から外国人さんまで、これまで接点の少なかった大勢の方々に足を運んでいただけるようになりました。

そんな、1周年を迎えたばかりのD & D Kyotoですが、実は10年以上も前から伏線があったことをご存じの方は少ないでしょう。佛光寺の有志からはじまった、そんな地道な挑戦を今日はお伝えしたいと思います。

お寺のあり方に対して危機感を抱いていた近隣寺院の有志達が中心になって、佛光寺の境内でナイトコンサートをはじめたのは2003年。境内の枝垂れ八重桜のライトアップ、模擬店など内容も徐々に充実させながら約6年間にわたって開催。その後は、地域の自治連合会に引き継いでいただき、地域イベントとして定着しています。

時を同じくして、「真宗佛光寺教団の活性化に向けて」という提案書を作成。平成23年に予定されていた仏光寺草創800年に向け、新たな時代、新たなライフスタイルへの対応について提案しました。

その内容は、教団としての本質論である「教義・布教内容」から、具体的方法論としての「時間・場所」まで幅広く、茶所の「休憩スペース」としての利活用についても記載されていました。地域住民・一般市民をも対象とし、地域活性化の観点から、椅子席を備えた休憩スペース及び多目的スペースへの機能変更を図るもので、D & D 京都を予言していたかのようにも思えます。

佛光寺界隈は、京都の都心にありながら、自治会やPTA、消防団など、地縁組織がしっかり機能していて、佛光寺の門信徒であろうがなかろうが、佛光寺を身近に感じ、愛してくださっている方ばかりです。例えば、先週行われた御正忌報恩講。「全国から集まる門信徒さんを、”非”門信徒の地元の皆さんがもてなす」というのは一見不思議に思えますが、お寺が地域コミュニティの核だった、昔ながらの姿なのかもしれません。

これらの光景を見るとき、改めて、お寺は門信徒さんのためにあると同時に、地域の方々のための場所でなくてはならないと感じます。D & D Kyotoがきっかけとなって、地域コミュニティがもっともっと強固になっていくことを楽しみにしています。

最後になりましたが、D&D Kyotoのスタッフの皆さんはもとより、D&D本部や京都造形芸術大学の皆さん、また、影ながらさまざまな支援をいただいている地域の皆さん、そして、本山佛光寺関係者の皆さんのご尽力に対してこの場を借りて深く感謝申し上げます。