年頭のご挨拶

新春の 明き光に つつまれて
聴き開かなん 御国への道

明けましておめでとうございます。新年にあたり謹んで年頭のご挨拶を申しあげます。

昨年は、私たち真宗佛光寺派宗門が長きに亘り待ち望んでおりました次期ご門主、真覚新門の御誕生というこの上ない慶びの年でございました。佛光寺第三十代真承上人のご長男、真覚新門様は、十一月四日に執行されました法嗣御得度式で、「これからは、親鸞聖人に導かれる日々を送り、真承上人の志を受け継ぎ、佛光寺の法灯を継承する決意を新たにしております。」と、力強いお言葉をお述べになられました。また、御正忌報恩講に、初めてご出仕になり凛々しくお勤めいただきました。私たちはこの勝縁のもと、新しい時代の幕開けとして、時代社会に添ったご教導を願うものでございます。

さて今日、国の内外では、痛ましい自然災害、国際紛争、内紛、事故、事件は絶えることなく、混迷を深めるばかりであります。情報技術の驚異的な発達と普及は、居ながらにして世界の情報を瞬時に享受し得る社会を創り出した反面、私たちは、種々雑多な情報に振り回され、混迷する社会に一層拍車を掛けています。

「よろずのことみなもって、そらごとたわごとまことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします。」とお説きいただいた聖人のお言葉が胸に響いてまいります。時代社会に流されることなく正しく見つめ、自分を生き抜くことをお教えいただいたお念仏のみ教えこそが、今日の時代を救う唯一の「み教え」といただけるのであります。

昨年の御正忌報恩講において惠照ご門主は、

弥陀成仏のこのかたは
いまに十劫ほへたまえり
法身の光輪きはもなく
世の盲冥をてらすなり

と、ご和讃をお引きになり、「阿弥陀さまのみ光を讃え、このみ光に照らされるとき、一人ひとりの闇の深さが知らされ、同時に今まで気づくことのできなかった私自身を支え、育んでくださっている世界に気づかされることで、大きな喜びの心が生まれてまいります」と、お説きくださいました。

これからも、ご聖人さまにお示しいただきましたお念仏のみ教えを聴き、今年も皆さまと共にお念仏による真の生活をしてまいりたいと存じます。

長性院 住職 佐々木 亮一